Aalto ARTS|建築とデザイン 〜 ウリヨ・クッカプロ、シモ・ヘイッキラ
来館者の皆さんにもっと寛いでもらえるように、いま灯台美術館の内装を考えているところです。やはり白樺の木で統一したいと思っているのですが、せっかくなので椅子やベンチなども自作できるといいですね ──
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Aalto ARTS
1871年に設立された彫刻学校は、中央工芸美術学校、芸術デザイン学校と名称を変えながら、多くの有名なデザイナーたちが教鞭をとり、フィンランドデザインを継承してきました。そして1973年にヘルシンキ芸術デザイン大学が誕生します。
2010年、芸術デザイン大学は工科大学と経済大学との合併により、アアルト大学美術学部となり、2012年には工科大学の一部であった建築学部が統合され、Aalto ARTS(アアルト大学美術デザイン建築学部)となりました。
そこで今回は、ヘルシンキ芸術デザイン大学の教授としても活躍したふたり、ウリオ・クッカプロとシモ・ヘイッキラをご紹介します。
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建築のような家具 - Yrjö Kukkapuro
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Karuselli Lounge Chair (yrjokukkapuro.com) |
ウリオ・クッカプロは、フィンランドで最も国際的に成功した家具デザイナーのひとりです。美しく機能的で人間工学に基づいた彼のデザインは、建築から多くのインスピレーションを受けています。60年代からポップアートカラーのプラスティックチェアを手がけていましたが、オイルショック以降、エコロジーの観点から合板を組み合わせたデザインへと移行しました。
1933年 ヴィープリ生まれ
1954年 グラフィックアーティストのイルメリ・クッカプロと結婚
1958年 芸術デザイン学校を卒業
1959年 デザイン事務所「スタジオ・クッカプロ」を設立
1974年 ヘルシンキ芸術デザイン大学の教授に就任
1995年 カイ・フランク・デザイン賞を受賞
彼のデザインで最も有名なカルーセルチェアは、1964年にアヴェルテ社のためにデザインされたもので、MOMAの常設コレクションにもなっています。 1974年のニューヨークタイムズ紙では最も座り心地の良い椅子と掲載されました。
またクッカプロは、1974年から1980年にかけてヘルシンキ芸術デザイン大学で教授、1978年から1980年には校長を務めました。この記事を書いた当初はまだご存命中でしたが、2025年2月に亡くなられました。91歳でした。
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建築家による家具 - Simo Heikkilä
シモ・ヘイッキラは、フィンランドの家具デザイナー兼インテリア建築家です。芸術デザイン学校を卒業した彼は、マリメッコの店舗や展示会のデザインからそのキャリアを始めます。1980年代からは家具デザインに重点を置くようになりました。
1943年 ヘルシンキ生まれ
1967年 芸術デザイン学校を卒業
1971年 デザイン事務所を設立
2000年 ヘルシンキ芸術デザイン大学のウッドスタジオでディレクター
2011年 カイ・フランク・デザイン賞
1989年、ヘイッキラは15年間の国家助成金を受け取り、デザインやその製作に集中することが可能になりました。また彼は、ヘルシンキ芸術デザイン大学のウッドスタジオの責任者や教授を務め、Alvar Aaltoデザインセミナーを立ち上げるなど、国内外の家具デザインに大きく貢献しています。
ヘイッキラは2009年、世界中で消えつつある伝統的なデザインを後世に残すための活動として、21人の国際的なデザイナーにサーミのナイフ「leuku」の再解釈を依頼し、展示会を開催しました。 また2002年には岩手県工業技術センターに招かれ、講習会を行いました。その時の様子が「ユニバーサルデザイン・ハンドブック2」に掲載されています(P.43〜)。彼のデザインについての考え方がとてもよく出ていると思います。
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芸術デザイン大学の東京
Taideteollisen oppilaitoksen kuvaamataidonopettajaosaston ylioppilaskunta。頭文字をとると、TOKYO。1961年に設立された芸術デザイン学校の視覚芸術学部の学生組合です。学生のサポートをすると共に学校の大学化にも影響を与えようとしました。現在はアアルト大学の学生組織として活動中。