はじめに 〜 Kiitos!! Kaurismäki
アキ・カウリスマキは、フィンランドの映画監督。映画が好きな人やフィンランドが好きな人にとっては、きっと説明不要かもしれません。自分はといえば、「カリウス─」だったか、「カウリス─」だったか、わからなくなってしまうくらい。その名を口にしようとするたびに、一瞬の空白がおとずれます。
これまで映画館で観たことがある作品は、アルマ・ポウスティ主演の【枯れ葉】のみ。その上映にあたって、『Kiitos!! Kaurismäki』というBlu-ray BOXが再発されました。これはいい機会だと、ひと作品ごとに観ていこうと思い立ちましたが、それからすでに1年以上経過してしまいました……。昨年末には、ヴェリコ・ヴィダク監督による【キノ・ライカ 小さな町の映画館】も公開されました。
このままではいかんとおもっていたところ、Mさんが毎月末に配信しているclubhouseで、ふいに「ハラダさん、なにかあります?」と聞かれ、「2025年はカウリスマキ映画を観ようかとおもっています」とひさしぶりに発言。するとMさんが「感想をどこかに書いたりします?」と。「はい、書きましょう!」と、いきおいで口走っていました。
外堀を埋めて追い込まないとなかなかエンジンがかからない性格なので、いまがそのときなのでしょう。なんていいつつ、ずっとカウリスマキの作品が好きだった人やくわしい人がたくさんいるなかで、いったいどんなことが書けるのか。ああ! もうそういうエクスキューズはいらないのです。というわけで、作品ごとのあれやこれやに妄想をまじえながら、書いていきたいとおもいます。よろしければ、どうぞおつきあいください。
「ライカ、おすわり! 映画がはじまるよ」
* タイトルは、監督が共同経営する映画館キノ・ライカで、上映前に流れるカティ・オウティネンの声からつけました。
作品データに関しては、Peter von Bagh『AKI KAURISMÄKI』(愛育社)を参考にしています。